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 (返り咲きしたオオデマリ)
庭先の「オオデマリ」の花が咲いている。ゴールデンウイーク前には一度全部花が散っているから二度咲きであり、いわゆる「狂い咲き」、あるいは「返り咲き」(返り花ともいう)といっていい。この花の狂い咲きは多くは秋に見られるので、返り咲きといった方が正確かもしれない。地球環境の変化の影響なのだろうか。 

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百科事典(『日本大百科全書(ニッポニカ)』(小学館)によると、返り咲きは主に落葉樹(オオデマリも落葉樹)に多い。葉腋に花芽が完成した後、日照量が多くて気温が高く植物の養分や水分の吸収が盛んな時期に、物理的障害や物理的充足を受けることで生ずる。こうした現象は、温度だけで生育する熱帯性・亜熱帯性の植物には少なく、普通は休眠期を要するものに多く見られる。落葉樹では物理的な作用でおこることが多い(以下略)という。

今年は桜をはじめ、様々な花は開花が早く、オオデマリも例外ではなかった。例年はゴールデンウイーク直前ごろが満開になるのだが、今年はそのころには既に花は散っていた。その後、急に暑くなったり、寒くなったりする日がある、変則的な気候が続いた。それが返り咲きに影響したのだろうか。

返り花で連想するのは「カムバック」という言葉だ。「戻ってくること。特に、引退したり衰えたりしたものがもとの地位・立場に戻ること。返り咲き。復帰」(広辞苑)という意味だが、スポーツ界や政界ではたまに目にすることがある。卑近な例では、大相撲の横綱照ノ富士(31)だろうか。膝の大けがのため、大関から下から2番目の序二段まで陥落しながら復活を遂げ、横綱にまで昇進した。奇跡のカムバックといわれ、今場所(夏場所)も14日目で8回目の優勝を決めている。体はボロボロになりながら、けがを克服して大相撲界を牽引する力は、やはりただ者ではない。

床(とこ)にいりて涙やまざり今日の日の一日(ひとひ)のいのち去りゆくものを 文化人類学の岩田慶治(19222013)の歌だ。岩田は「1943(昭和18)年に学徒出陣して国立電波兵器練習所に入り、雷撃機(ブログ筆者注:魚雷または爆弾を積み、艦船を攻撃する軍用機)機上要員として訓練を受けた。死が目前に迫って、去り行く一日の命を、万感を込めた深い愛惜とともに詠んだ」(山本健吉『句歌歳時記 夏』新潮社)。岩田は生き残ったが、学徒出陣した多くの若者が短い一生を終えた。この歌はその悲しみを示したものだ。できるなら返り花のようにカムバックして人生を送り直してほしかったのに……。

そして、現代のニッポン。31歳が4人を殺す凶悪事件を起こし、32歳の首相の長男秘書官は首相公邸でバカ騒ぎをしたことが話題になっている。虚無感が依然、胸をよぎる。

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(26日の夕焼け)