小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をコラムとして書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。(Copyright (C) 2006-2024 Y.Ishii All Rights Reserved.)

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映画

 今月、2回にわたって「川」にまつわる話を書いた。今日はその続きで、映画と歌でよく知られた川のことに触れてみる。『河は呼んでる』という往年のフランス映画がある。66年前の1958年に公開の映画だが、映画の内容より、同名の主題歌を覚えている人の方が多いかも
『2550 人と縁が深い川 『河は呼んでる』を聴きながら…』の画像

 私の散歩コースの一角に公衆トイレがある。時々、車でやってきた男性がモップなどを使って掃除しているのを見かける。彼はここだけでなく他の公衆トイレを回っている「専属清掃人」なのだろう。役所広司主演の日本・ドイツ合作の『パーフェクトデイズ』(PERFECT DAYS)も
『2527 市井の片隅の豊かな?人生 映画『パーフェクトデイズ』』の画像

 近所の喫茶店に入ったら、チェロの演奏で『浜辺の歌』(成田為三作曲、林古渓作詞)が流れていた。林古渓が作詞し、成田為三が作曲した日本の歌だ。それがいつしかチェロの曲としても知られ、今では世界各地で演奏され、世界の人たちに親しまれているという。私はメロディ
『2426 心に響く『浜辺の歌』 映画『二十四の瞳』と高峰秀子』の画像

(かつてはこんな茅葺の家もあった) 誰でも知っている唱歌『故郷』(ふるさと)(岡野貞一作曲)の1番は「兎追いしかの山 小鮒釣りしかの川……」という歌い出しです。フナを釣ったことはあっても、山でウサギを追ったことがある人は現代ではあまりいないのではないでし
『2352 戦争の短い休暇と長い休暇  遠くなった故郷 』の画像

(ひっそりと咲くアザミ)  童話作家で詩人の宮沢賢治が亡くなったのは1933(昭和8)年9月21日で、37歳の生涯だった。ことしで没後90年になるのを記念して映画『銀河鉄道の父』(成島出監督)が制作された。このクライマックスは、息を引き取る賢治(菅田将暉)を抱きかかえて
『2312 クライマックスは「雨ニモマケズ」映画『銀河鉄道の父』』の画像

(密集して咲くシラン)  かなり昔の小学生時代の話だ。私の通う小学校近くに「鐘馗様」(しょうきさま)というあだ名を付けられた農家の人がいた。その顔は、中国の道教系の魔よけの神で日本の端午の節句の幟(のぼり)や五月人形になった魁偉な容貌である鐘馗のように怖
『2307 たくましき糞尿譚 映画『せかいのおきく』と「鐘馗様」』の画像

 最近、時々だが絶望と希望について考える。この世は閉塞感が強く、日々のニュースを見ても希望を感じるものは少ない。一方で、ため息をつく記事が圧倒的に多いのだ。「希望とは、もともとあるものともいえぬし、ないものともいえない。それは地上の道のようなものである。
『2187 希望は地上の道か 3・11から11年半に寄せて』の画像

「天に軌道があるごとく、人はそれぞれ自分の運命というものを持っております。嘘つきは泥棒の始まり、と申しますが、最近は平気でごまかそうという政治家がいるようでございます。そうは行きません。おてんとうさまはよく見ているのでございます。いつか必ず天罰が下る運命
『2182 鬱陶しい日々へ 寅さんの口上再び』の画像

「天に軌道があるごとく、人はそれぞれ自分の運命というものを持っております。とかく気合いだけの政治家はうわべはいいが、中身はない。金を使えば何でもできると思っていたら、そりゃあ、間違いだよ。な、そうだろう」。  暑い日々、家に籠ってぼんやりと新聞の川柳を読
『1921 金に頼る政治家たちへ 寅さんの怒りの口上が聞こえる』の画像

「パラサイト 半地下の家族」(ポン・ジュノ監督)という韓国映画がアカデミー作品賞を受賞した。日本でこの言葉が使われるようになったのは、就職氷河期が続いた1990年代後半のことだ。辞書には「寄生生物・他人の収入に頼って生活している人を俗にいう語」(広辞苑
『1854 結末は奇想天外の悲喜劇 社会風刺の映画「パラサイト」』の画像

  絵画の世界でレオナルド・ダ・ヴィンチ、ピカソと並びだれでもが知っているのが「炎の人」といわれるフィンセント・ファン・ゴッホだろう。では、ゴッホはどんなふうに描こうとする風景を見ていたのだろう。それを映画化したのが『永遠の門 ゴッホの見た未来』(監督

 かつて新聞記者は若者の憧れの職業の一つだった。だが、最近そうした話は聞かない。背景にはインターネットの発達や若者の活字離れなどがあり、新聞自体が難しい時代に直面していることを示している結果なのだろう。そんな時、『新聞記者』という題名に惹かれて、一本の映
『1792 新聞記者とは 映画と本から考える』の画像

「日日是好日」という言葉を座右の銘にしている人がいるだろう。広辞苑を引くと「毎日毎日が平和なよい日であること」と出ている。元々は中国の『碧巌録』(へきがんろく)という禅に関する仏教書の中にある言葉だという。読み方は3通り(にちにちこれこうにち、にちにちこ
『1716 茶道と25年の歳月 映画「日日是好日」』の画像

 東京都目黒区のアパートで船戸結愛ちゃんという5歳の女の子が虐待で死亡、継父と実母が逮捕されたのに続き、走行中の新幹線車内で22歳の男が乗客を刃物で襲い、女性客を守ろうとした男性が殺される事件が起きた。2つの事件とも家族の在り方が問われる深刻な背景があ

「戦争には決断。敗北には闘魂。勝利には寛仁。平和には善意」(『第二次大戦回顧録』より)第二次大戦下、イギリスの首相としてナチスドイツ、日本と戦い、連合国を勝利に導いたチャーチルは、この長文の回顧録によって1953年、ノーベル文学賞を受賞した。この人を描い

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